
事故・トラブル発生時の原因を網羅的に整理したいけど、箇条書きで羅列していっても抜け・漏れが出そうで怖い。何かいい整理方法はないかな?
初めての現場作業をおこなうので、事前に危険予知をしたいけれど、KYを幅広い視点で実施するために何かいい整理方法はないかな?
と時間を効率的に使いたいと考えている方は多いと思います。
そんな方へ答える形でこの記事を書いていきます。
この記事の内容
・4M分析の要素がわかる
・4M分析の使い方がわかる
非常に簡単ながら、網羅的に整理する考え方の型として活用できますので、ご一読ください。
事故の原因分析と対策検討時に用いられる4Mとは?
ヒューマンエラーの原因や防止対策立案のアプローチ方法として、古くから「4M」ということが言われています。
- man:作業者本人、上司や同僚などの人間要素
- machine:道具、機械、設備などのハードウェア要素
- media:照明、騒音をはじめとする物理的環境、手順などの情報環境、同僚などの人間環境などのさまざまな環境要素
- management:制度やルール、管理体制などの管理的な要素
4MはSHELモデルと本質的には同じであり、manは中心のL、machineはH、物理的環境はE、人間環境は周辺のL、情報環境はS、に相当しています。
4MもSHELモデルもいずれもヒューマンエラーの原因究明、対策立案では、ヒューマンエラーを起こした人の状況だけに着目しては真の原因にはたどり着けないことを示しています。
各要素とエラーを起こした人とのマッチング、ずれ、という考え方でアプローチしていきましょう。
生産現場の作業で用いられる4Mとは?(5M)
実際の作業設計段階での危険予知や生産工程の品質管理などの場面では、製品やサービス、作業などの構成要素である4M(5M)に着目して考えます。
5Mと呼ばれることもあります。
- man:作業者本人、上司や同僚などの人間要素
- machine:道具、機械、設備などのハードウェア要素
- material:材料、物性、情報
- method:方法、手順などのソフトウェア要素
- Environment:気温、作業環境などの外部環境要素
作業や工程ごとに4M、5M要因を抽出して整理したほうが、のちの予防対策がより的確に検討することができます。
4M分析の使い方
4M分析を例にとりますと、実際に用紙を4分割してとにかくアイディア出しすることが重要です。
作業前に4M/5M分析をおこなうにあたって、以下の例のような着眼点を参考にしてみてください。
分析の着眼点
- man:作業を行うにあたって、作業者本人の力量やスキルは十分か?作業者が集中して作業できる時間帯か?
- machine:作業を行うにあたって、無理や無駄が発生するような道具・設備になっていないか?
- material:材料や流体の物性にはどんな危険性があるか?汚れで詰まって噴出しやすいとか、地面に滞留しやすい重いガスではないか?など
- method:手順書はあるか?最新版かつ誤記が無い状態を維持できているか?基本的な操作手順が抜けていないか?
- Environment:雨天によって作業環境が悪くなっていないか?作業半径内に関係者以外の人間が立ち入っていないか?
4M/5M分析の観点を取り入れることで、多少なりとも網羅的な確認ができると思います。
そのアイディア出しに基づき、原因と対策を立案していくこととなります。
対策立案に使える4M5E分析とは?
4M分析において抽出・分類してきた要因に対して対策を立案していく際に便利な考え方の一つが4M5E分析(4M4E分析の場合もある)という考え方です。
5E対策分類は以下のとおり。
- Education(教育・訓練):業務遂行のために必要な能力、意識向上のための対策。講習会、OJTの実施など。
- Engineering(技術・工学):安全性を向上させるための機器・設備、方法の技術的な方策。設備や手順、基準値の見直し。
- Enforcement(指導・徹底):業務を確実に実施するための強化・徹底に関する方策。手順の作成、危険予知活動の強化。
- Example(事例・模範):不正やマニュアル外の作業を行わないような模範行動。社外事故事例の共有、情報のデータベース化など。
- Environmnet(作業環境):物理的な作業環境を改善する方策。作業場の照度や騒音などの改善
この分類にそって対策まで議論できると、さらに網羅性が高まっていきます。
ただし無理してすべての要因ごとに対策を上げようとしないでください。
- 真の原因に対して対策が合致しているか?
という点が結論を出すときに重要になるため、真の原因に合致したものだけに対策の資本(ヒト・モノ・カネ)を投じていきましょう。
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まとめ
今回は「4M5E分析とは?事故の原因調査や危険予知にも使える要因整理方法を解説!」についてまとめてきました。
事故の原因と対策、作業設計段階で有効となりますので、4M/5E分析をぜひ活用してみてください。
効率的に課題や改善策を整理・提案していくことで、よりよい職場をつくっていきましょう。