法令・規則

化学系で取得すべき資格試験とは?工場の実務者が徹底解説【国家資格12個のおすすめ教材】

化学系で取得すべき資格試験とは?実務者のわたしが徹底解説【全12個の国家資格】
化学系で取るべき資格は?どれだけのボリュームがあるのか分かれば計画も立てやすいのに。。
入社前に取る必要があるの?必要あるものを教えて!

そんな心配をされる方も多いと思います。

資格試験のメリット

  • 工場の実務に直結する
  • 昇格基準のひとつに資格取得ポイントがある
  • 資格取得で給与に手当がつく

などと入社後の資格取得はメリットが多いです。

もちろん実務にも直結しますので、職場の主力をすぐ目指すためにも必要なことですよね。

当記事の内容はこちら

  • 化学系の学生が取得すべき資格に関して、優先度や難易度がわかる

ではさっそく一緒に見ていきましょう。

化学系社員必須の資格12個

化学系社員が必要な資格を紹介します。

学生のうちに必ず取得しておくべきものはありません。入社時わたしも取得数はゼロでした。

しかし学生は皆取得してこないので、実務の汎用性が高く難易度もそこそこ高い高圧ガス甲種と危険物甲種を保有していると就職活動でアピールしやすいと言われますね。

以下の指標でまとめました。

  • 取得の優先度:化学会社の現場に入社してから必要な順位
  • 仕事の実用度:資格の学習が実務につながる度合
  • 合格の難易度:主に暗記量に比例。高難度ほど就職・転職にも活用しやすい
  • 年間受験者、合格率(H30データ)

専門性が高く、転職活動でも重宝されるものは難易度で判断するとよいでしょう。

危険物取扱者

危険物取扱者は、消防法にもとづく危険物(ガソリン、灯油、軽油、りん、過酸化物など)を扱える資格です。

甲種を取得すると、第1類から第6類まで全ての物質を扱うことができます。

化学工場、ガソリンスタンド、石油貯蔵タンク施設などでは必須の資格です。

危険物取扱者の評価
項目評価
取得の優先度(5.0)
仕事の実用度(4.0)
合格の難易度(3.0)
年間受験者甲種:2.5万人、乙種:35万人
合格率甲種:40%、乙種:35%

わたしが使った参考書はこちら。

問題集形式の薄い問題集より、なるべく法令などの解説がわかりやすいものを使っていました。

わたしの個人的感想

第5類など見慣れない物質の暗記に苦戦し3回受験しました。油断せず暗記はきっちり勉強してくださいね。

高圧ガス製造保安責任者(化学・機械)

高圧ガス製造保安責任者は、ガススタンドや高圧ガスを取り扱う工場の取扱資格となります。

甲種の化学・機械は難易度や知識の幅も広く、新卒の就職試験等で差がつく資格と言えます。

高圧ガスは水素、メタン、プロパンなどその取扱い範囲は多岐にわたります。

高圧ガス製造保安責任者の評価
項目評価
取得の優先度(4.5)
仕事の実用度(4.0)
合格の難易度(4.0)
年間受験者甲種:886人
合格率甲種(全科目受験):15%、検定(保安管理、学識):50%、検定(法令):85%

わたしが使った参考書はこちら

よくわかる計算問題の解き方―高圧ガス甲種資格者への近道、高圧ガス保安技術テキスト、高圧ガス法令テキスト、過去問集

外部サイト高圧ガス保安協会|出版物

基本は高圧ガス協会のテキストで学習し、計算問題はこのテキストでどんな問題が出るか軽く備えていました。

わたしの個人的感想

入社直後は保安技術や法令の知識に乏しいので、少し苦戦します。その一方で、化学大卒なら学識はほぼ無勉強でもいけるはず。

甲種全科目受験は合格率15%と低く、大卒相当なら余裕だという風潮も過去のものかもしれません。

近年は検定試験(まず保安管理と学識だけを受験し、あとで法令だけを受験できる)を活用して石橋を叩く人が増えています。法令と保安技術の暗記きついのでその方が良いでしょう。

ボイラー技士

ボイラーのサイズに応じて取扱の免許が定められています。

ボイラーとは、圧力容器であるボイラーという高圧蒸気を動力や暖房に使用する設備です。

要は発電所や化学プラントで発生した排熱回収設備で必須の資格です。

発電所クラスのサイズになると特級が必要になります。

ボイラー技士の評価
項目評価
取得の優先度(4.0)
仕事の実用度(5.0)
合格の難易度(1,2級)(2.0)
年間受験者特級:474人、1級:5,071人、2級:25,601人
合格率特級:26%、1級:58%、2級:56%

わたしが使った参考書はこちら

1級ボイラー技士試験公表問題解答解説

わたしの個人的感想

1級も2級もほとんど同じ問題なので1級の過去問題集を買いましょう。

2級を取得してから、2年間は有資格者にはなれませんが受験はできるので、2級試験の後1ヶ月以内に1級の試験を受けてしまうことをおすすめします。

何度も同じ勉強しなくて済むようにしましょう。

特級は記述式問題があるので高い理解度を要します。長い実地経験を要しますが、該当要件を満たしたらぜひチャレンジしてみて下さい。

エネルギー管理士(熱分野)

エネルギー管理士は、その名の通り工場の省エネルギーに貢献するための資格です。

「製造業」「鉱業」「電気供給業」「ガス供給業」「熱供給業」に該当する一定規模の工場では、エネルギー管理士を置くことを義務付けられています。

規模の大きい検討に携わりたい人は持っておくべき資格です。

エネルギー管理士(熱分野)の評価
項目評価
取得の優先度(4.0)
仕事の実用度(3.5)
合格の難易度(3.5)
年間受験者9,912人
合格率27.9%

わたしが使った参考書はこちら

エネルギー管理士試験講座 熱分野・電気分野共通〈1〉エネルギー総合管理及び法規

エネルギー管理士試験講座 熱分野〈2〉熱と流体の流れの基礎

この試験講座は1~5まであり値は張りますが、教科書・参考書的に全体像を理解できるのはこれだけです。

分野ごとにマスターしていきましょう。

わたしの個人的感想

1日で詰め込むテストとしてはボリューム多めです。

わたしは法令だけ失敗し2回目で合格。受験後2年間合格科目の持ち越しができるので計画的に学習しましょう。

ポンプ、圧縮機、熱交換器、加熱炉など熱利用設備の運転管理や効率評価方法などの基本を全体的におさらいすることができるので勉強になりました。

公害防止管理者(大気)

公害防止管理者大気は、特に大規模工場で必要となります。ばいじん、SOx、NOxなど大気への影響が起こりうる物質の管理業務を行うための資格です。

公害防止管理者(大気)の評価
項目評価
取得の優先度(3.0)
仕事の実用度(4.5)
合格の難易度(4.5)
年間受験者22,741人(大気水質合計)
合格率27.2%

わたしが使った参考書はこちら

新・公害防止の技術と法規 大気編

テキスト代が高くて悔しいですが、この分厚いテキストでしか全体像をつかめません。

しかし試験で出る範囲を網羅的に勉強できると思えば、この値段も納得といえる質・ボリュームです。

公害防止管理者等国家試験 正解とヒント

わたしの個人的感想

暗記がきつい法令だけでなく、拡散シミュレーションや微粒子の移動距離を計算する式など普段あまり使わない考え方や公式を頭に入れねばならないので苦戦しました。

エネ管試験と同様、科目合格後2年間は免除となるので勉強が追いつかない場合は2ヵ年で全合格を狙うなどの計画的な受験計画を立てましょう。

公害防止管理者(水質)

公害防止管理者水質は、排水系の環境負荷を管理する資格です。

排水中の有害物質であるCODやBODなどを管理し、低減する業務に直結する資格です。

公害防止管理者(水質)の評価
項目評価
取得の優先度(3.0)
仕事の実用度(4.5)
合格の難易度(4.5)
年間受験者22,741人(大気水質合計)
合格率27.2%

わたしが使った参考書はこちら

新・公害防止の技術と法規 水質編

新・公害防止の技術と法規(水質編)

大気編と同様、この分厚いテキストでしか全体像をつかめません。

公害防止管理者等国家試験 正解とヒント

わたしの個人的感想

5科目を1日でやりきる激しい暗記もののテストなので、非常に疲れます。

大気より水質の方が1科目少ないので、先に水質を受験することをおすすめします。

共通科目は1度取ればパスできるので、大気受験時に科目を減らすことができます。

衛生管理者

化学系の工場、研究所などでは化学物質等を扱うので1種を学習しましょう。

なお間接部門など化学品等と関係の無い部門では2種で十分です。

職場の部下の健康面など、労働安全衛生を守るための資格なので、どの職種であっても職場の管理者になる者にとっては必須の知識です。

衛生管理者の評価
項目評価
取得の優先度(2.0)
仕事の実用度(4.5)
合格の難易度[star25](2.5)
年間受験者1種:67,080人、2種:32,985人
合格率1種:44.2%、2種:52.4%

わたしが使った参考書はこちら

図表でわかる衛生管理者の合格知識

コンパクトに情報がまとまっており、これをベースにすれば過去問を解くことができます。

わたしの個人的感想

労安法、労働基準法、職業疾病、作業環境管理、救急措置、など非常に幅広い範囲で職場の管理について学習できます。

幅広いだけに法令や人体に関わることなど慣れない情報もありますが、過去問を繰り返して何とか暗記していきましょう。

冷凍機械責任者

冷凍機械を持つ職場では必須の職場です。

設備の冷凍能力に応じて第1種~第3種まで職務の範囲が分かれています。一定規模以上の事業所では1種が必要となります。

冷凍機械責任者の評価
項目評価
取得の優先度(2.0)
仕事の実用度(4.0)
合格の難易度(3.0)
年間受験者
合格率

わたしが使った参考書はこちら

上級冷凍受験テキスト

上級冷凍受験テキスト|日本冷凍空調学会

1級の試験となるとこのテキストしか無いのが辛いところ。

冷凍サイクルや機械の構造など実務上必要な知識はしっかり詰まっていますので、習得しましょう。

SIによる初級冷凍受験テキスト

初級 冷凍受験テキスト|日本冷凍空調学会

1級が読みにくい場合には、まずこちらの初級編から入るのが良さそうです。

わたしの個人的感想

実は上級の勉強だけして資格取得はしていません。

ビルや発電所など必須な職場に勤める方はぜひチャレンジしてみてください。

酸素欠乏危険作業主任者

酸素欠乏危険作業主任者は、酸素濃度や硫化水素濃度の測定など同僚の安全にかかわる仕事です。

労安法の酸欠則に基づく酸欠防止のための測定・換気・監視などの業務を指揮するための資格です。

酸素欠乏危険作業主任者の評価
項目評価
取得の優先度(5.0)
仕事の実用度(5.0)
合格の難易度(1.0)
年間受験者
合格率

わたしが使った参考書はこちら

技能講習会で中央労働災害防止協会のテキストを読むだけで十分です。

わたしの個人的感想

実務上すぐ必要であることが多いので、職場の受験指示に従いましょう。

特定化学物質等作業主任者

特定化学物質等作業主任者は、労安法で定める健康障害を発生させる恐れのある物質に関して、保護具の着用状況や作業環境などを監視・監督するための資格です。

特定化学物質等作業主任者の評価
項目評価
取得の優先度(4.0)
仕事の実用度(5.0)
合格の難易度(1.0)
年間受験者
合格率

わたしが使った参考書はこちら

特定化学物質・四アルキル鉛等作業主任者テキスト。技能講習会で準備するテキストを利用してください。

わたしの個人的感想

有害な化学物質を扱う職場では必須です。

酸欠則同様、資格取得は簡単ですが人の健康に直結する業務ですので軽視はできません。

有機溶剤作業主任者

有機溶剤作業主任者は、クロロホルムやジクロロメタンなどの健康被害の懸念がある物質を管理します。

有機溶剤作業主任者の評価
項目評価
取得の優先度(4.0)
仕事の実用度(5.0)
合格の難易度(1.0)
年間受験者
合格率

わたしが使った参考書はこちら

上記同様、技能講習会で準備するテキストを利用してください。

わたしの個人的感想

技能講習なのでこちらも取得は簡単です。

化学系の職場ではよく使いますので、職場からの指示で取得しましょう。

労働安全コンサルタント

労働安全コンサルタントは、安全管理者研修の講師を担ったり、労働災害が続く職場のコンサルタントを行ったりするのに必要な資格です。

工場での経験を活かしてフリーランスを狙う人にはもってこいです。

労働安全コンサルタントの評価
項目評価
取得の優先度(1.0)
仕事の実用度(4.0)
合格の難易度(5.0)
年間受験者
合格率

わたしの個人的感想

わたし自身まだ勉強してはいませんが、職場のコンサルタント業で生計を立てる人向けだと感じています。

工場の最前線で働いたのち、第2の人生を歩む年代で取得するのが吉。難易度が高い資格なので、十分な準備が必要です。

まとめ:資格取得は若いうちにお早めに

まとめますとざっくり以下のようになりました。

化学系資格のまとめ
資格主要参考書難易度
危険物取扱者わかりやすい! 甲種危険物取扱者試験
高圧ガス製造保安責任者(化学・機械)高圧ガス保安協会教本
ボイラー技士1級ボイラー技士試験公表問題解答解説
エネルギー管理士(熱分野)エネルギー管理士試験講座
公害防止管理者(大気)新・公害防止の技術と法規 大気編
公害防止管理者(水質)新・公害防止の技術と法規 水質編
衛生管理者図表でわかる衛生管理者の合格知識[star25]
冷凍機械責任者上級冷凍受験テキスト
酸素欠乏危険作業主任者(技能講習テキスト)
特定化学物質等作業主任者(技能講習テキスト)
有機溶剤作業主任者(技能講習テキスト)
労働安全コンサルタント

といった感じです。

暗記ものが多いので、優先度が3以上の資格は20代のうちに入社5年程度で取得しきっておくのが吉。

ぜひ取得計画の参考にしてみてくださいね。

  • この記事を書いた人

けびん

30代前半、製造現場の最前線で管理者を務めています。 文献や実践から得られた学びをこのブログを通じてみなさんと共有していきたいと思います。

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