今回はアメリカ最大手のデュポンの安全文化発展モデルについて解説していきます。
デュポンでは1802年の火薬製造開始後、1811年に最初の安全規則が作られてから約200年の安全ノウハウの集積があり、安全に関する歴史があります。
その知識・経験から確立したモデルを見ていきましょう。
デュポンの安全文化発展モデルとは?

デュポンの安全文化の発展段階モデル
デュポンは社内の事故率と組織文化の相関を調査、解析することで「安全文化の発展モデル」を確立しました。
従業員の安全意識が職場の労災・事故率と直接相関があるそうです。
第 1 段階「反応型安全」
この段階では実際に労災や事故が発生したときにだけ規律やルールが使われ,安全意識や行動を向上させるための取組みはありません。
したがってだれかが痛い思いをしなければ、まずい行動でも見逃してしまうということになります。この段階のゴールは「ルール遵守」です。
第 2 段階は「依存型安全」
この段階では安全行動は監督者の指示に依存しています。
ルールや手順に対する強い信頼感を持つようになりますが、メンバーの関与がほとんどなく作成されたものです。
ルールや手順を周知させるための訓練が重要ですが、まだまだ指示に依存しているだけであり、この段階では災害ゼロを達成するのは非常に難しいです。
第 3 段階は「独立型安全」
この段階は自己管理が可能な段階であり,メンバーが各自が個人的に安全に関わっている状態です。
メンバーは危険なプロセスに関する知識を有しており、ルールや手順を真に理解して実行しようとします。
善行を促すための評価も重要となりますので、この段階にある組織は「労災ゼロ」期間を継続できることがあります。
第 4 段階は「相互啓発型安全」
この段階ではチームのメンバーがたがいに信頼し頼りあうことで相互啓発していきます。
組織内で常に知識や経験の共有が進み、自分たちの能力に対する誇りを持ち、結果も残すことができます。
この段階にある組織は「事故・労災ゼロ」期間を継続できるはずです。
安全文化を発展させるには?
やはり管理者や経営者の強いコミットメント(決意)が必要となるでしょう。
管理者が安全に対して本気で取り組むことで、組織のメンバーひとりひとりが安全は組織の基本的価値であると認識することができるようになります。
その取組みの中で、いま自分の組織がこの4段階のモデルのどこに位置するのかを振り返ることによって、今後の方向性や次の段階が見えてくるはずです。
「全てのケガは防ぐことができる」の信念にもとづいて、安全活動(危険予知活動、ヒヤリハットなど)を実行し、安全文化を定着させていくことが重要です。
安全文化・組織風土向上を評価するには?
実際に安全文化発展モデルのどの段階にいるのかを評価するために、以下の指標や問いかけに対して確認してみてください。
安全文化・組織風土を評価するための問いかけ
- トップマネジメントが安全の重要性を発信しているか?
- 管理者が明確な方針を打ち出して実行しているか?
- 誤った意思決定を避ける力があるか?
- 常に周囲へ問いかけ、報告する文化になっているか?
- 良好なコミュニケーションがとれているか?
- 説明責任・透明性・コンプライアンス遵守は問題ないか?
- 学習する組織といえるか?
- 事故・故障の未然防止に取り組んでいるか?
- 自己評価だけでなく第3者評価も受け入れているか?
- 変更管理は徹底しているか?
まとめ
今回は「デュポンの4段階の安全文化発展モデルを解説。事故トラブルゼロを狙う職場で用いたいモデル」について書いてきました。
過去の大事故をふまえて安全文化を構築してきたデュポンから学ばない手はありません。
ぜひとも職場でこのモデルを参考にしてみてください。
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