
・ヒヤリハットの討議を始めると、どうしても個人を責めるような
・でも個人を責めずして、どうやって原因を掘りさげていけばいい
・対策に向けた考え方を学んでおきたい
そう考える方も多いかとおもいます。
その方々に向けて今回は、失敗(エラー)の原則についてまとめました。
議論する前の予備知識として、この12の原則をチームや職場で共有しておけば、討議が脱線することも減っていくでしょう。
欧米ではヒヤリハットという表現はあまり使わず、インシデントや
小さなリスクを撲滅するよりも、人命や健康に関わる重大災害の防
しかしヒヤリハット、エラー、どちらの言い方であっても、その考え
安全分野で有名な、ジェームズ・リーズン博士の考え方に基づき、
エラーマネジメントに関する12の原則とは?
12個の原則をまとめました。
1.ヒューマンエラーは普遍的なものであり、避けられないものだ と知ること
ヒューマンエラーは、人間の生活の一部とも言えるほど必ず起こっ
人間のエラーの発生確率を下げることはできるが、根絶することは
よって「絶対にエラーしないようにする」と徹底させるのは非効率
2.エラーは本質的に悪いものではない
「失敗は成功のもと」と言われるように、エラーは基本的には有用
エラーがなければ、安全や効率的な作業に必要なスキルを習得する
3.人間の状態を変えることはできないが、人間の働く条件を変える ことはできる
エラーには、心理的状態と状況が影響します。
不注意やど忘れなどは避けようがないですが、状況は対処できるも
不安全な行動だけでなく、不安全な状態を認識することが不可欠で
4.最良の人間でも最悪の過ちを犯すことがある
大部分のエラーは不器用な人間が引き起こすことが一般に信じられ
つまり能力の低い人間にだけ再教育し、解雇し、ポジションを変え
なぜなら過去の大きな保安事故では、経験値の高い人が起こしたも
また能力の高い人ほど責任ある職場や立場にあることが多く、失敗
5.人間は意図せずにとった行動を簡単に避けることができない
エラーした人を非難しても、是正・対策するという点では意味をな
わざとではなくまじめに取り組んだ結果うまくいかなかった場合に
しかしエラーを起こした人にも説明責任があります。
エラーを起こした人が再発を回避するために、教訓や経験を職場に
6.エラーは結果であり、原因ではない
事故後の調査の主目的は、システムの防護を強化することです。
エラーは原因ではなく結果としてとらえ、その原因調査をはじめる
エラーに至る過程をまとめて理解することから始めましょう。
それが再発防止につながります。
なぜなぜ分析についてはこちらからご覧いただけます。
重大なエラーやヒヤリハットが発生した場合には、原因調査を体系的に解析する手法が有効です。
7.エラーの多くは繰り返し発生している
ヒューマンエラーに起因する事象の多くは、以前にも起きたことが
複雑な作業になればなるほど、手順の省略が発生しやすいと言われています。
また複数のメンバーが協働する職場であれば、コミュニケーションの失敗やコミュニケーション不足におるエラーも発生します。
したがってこれらのタイプのエラーに着目することで、効果的にエラー防止をすることができるでしょう。
8.安全上の重大なエラーは、組織システムのすべてのレベルで起こ りうる
エラーは、実際に手を動かす第一線の作業員だけに起こるものでは
管理者など組織の中で地位が高い人であるほど、その人のエラーは
したがって、エラーに関するマネジメント手法は工場や組織全体に
9.エラーマネジメントは管理可能なことを管理することである
注意散漫、先入観、不注意の瞬間、物忘れなどをするのは人間の性
人間の性質などの変えられないことを懸命にコントロールしようと
エラーを起こした人を非難したり、責任を負わせたりするのは過去
人間をとりまく状況やシステム(ルールや設備)を技術的、手順的
他人への非難は、わずかな満足感を得られるだけで生産性がありま
10.エラーマネジメントは良い人材にさらに磨きをかけることである
安全活動はボトムアップだ、としてエラーを起こしやすい一部の人
本来は力量がありやる気のある人材をさらに磨くことが主目的です
技術的なスキルと心的なスキルを訓練と実戦で磨く必要があるので
特にエラーを想定した危険予知訓練が有効で、異常時に初動の段階
11.唯一、最良の方法はない
既存の対策方法や考え方は多数あるものの、自分たちの状況や問題
組織のさまざまな階層でヒューマンエラーの問題を有しているため
12.効果的なエラーマネジメントは、部分的な修正ではなく継続的な 改善を狙っている
たった1つのエラーに注力するのではなく、エラーの群れ全体を見
部分的な再発防止ではなく、継続的に根本原因にアプローチしていくことが大切です。
エラーマネジメントは継続的な努力が成果
今回は「ヒヤリハット活動で原因・対策を議論するときの心構え。失敗に関する12の原則【リーズン教授の教え】」についてまとめてきました。
エラーマネジメントについては、以下の3つの柱が考え方として必
エラーマネジメントのポイント3つ
- エラーの削減
- エラーの根本的除去
- 継続的な監視・改善
3つの中で最も難しいのは継続的な監視と改善です。
今回まとめた12の原則を職場で共有していけば、全員でヒヤリハットに潜む危険源を監視・改善していくことができるはずです。
地道に活動していきましょう。
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