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FMEA(故障モード影響解析)とは?工場の安全性改善手法の使い方とコツ

FMEA

今回は故障モードの解析手法としてFMEAを紹介していきます。

FMEAとは?定義と目的

定義

FMEAとは、a Failure Mode, Effects Analysis(故障モード、影響度解析)のことです。

FMECA、a Failure Mode, Effects and Criticality Analysis(故障モード、影響度および重要度解析)とも呼ばれます。

米国軍用規格として1949年に発行され、1970年頃から日本でも主に化学工場の安全性や信頼性改善のために利用され、いまでは医療や自動車など幅広い業種で品質や安全管理の手法として用いられています。

目的

問題が発生する前にプロセスおよび製品の問題を予防することがFMEA(故障モード影響解析)の目的です。

製品やプロセスの改善が開発プロセスの初期段階で明確になり、比較的容易に低コストで変更が可能となり、コスト削減と安全性の強化を図ることができます。

近年では事故・労災の未然防止の位置付けとして危険源の特定およびそのリスクアセスメントが求められており、故障モードごとにリスク評価し対策していくことの要求が高まっています。

FMEAによる効果の例

やはり安全性や製品の品質向上など、工場における工程や作業の見直しが図られることで様々なメリットを手取ることができます。

  • エンジンの組立作業で故障件数が1/3にまで減少した
  • エンジンの分解修理で毎月6,000ドルを削減した
  • 自動車部品工場で、設備稼働時間が74%から89%へ増加した
  • 顧客苦情が平均年間2件からゼロになった。

FMEAの手順

製品またはプロセスが故障する状態を、故障モードと呼びます。

FMEAの手順とは、プロセスまたは製品の故障、影響およびリスクを識別して、解消・低減する方法です。

FMEAワークシート

以下に示すようなワークシートに記載します。

構成要素潜在的故障モード原因潜在的影響影響度発生頻度重要度現状の対策追加対策
油圧モータポンプのオイル漏れシール部の劣化着火燃焼5210外観点検予備機設置
スプラインの摩耗グリース不足起動時の異音・振動326停止時メーカー点検点検データ確認
ブッシュの摩耗グリース不足同上326停止時メーカー点検点検データ確認
ブッシュ固定ボルトの緩み振動モータ損傷5210停止時メーカー点検定期振動測定
配管のオイル漏れ振動による緩み擦れオイルの流出5210外観点検定期部品交換
オイルの補充忘れ液面計汚れによる見落としポンプ停止122液面計清掃

プロセス検討

まず対象とするシステムのひとつの機器を選び、その機器で考えられる故障モードをすべて洗い出します。

操作を行うときには誤操作モードも特定します。

そして特定した故障モード、誤操作モード毎に故障原因と影響を確認します。

現状の対策が不十分と評価した場合には、追加の安全対策を行います。

重要度ランク評価式

重要度=影響度×発生頻度

FMEAの注意事項

HAZOPの場合は、設計意図からのずれを洗い出すためのHAZOPガイドワードが考案されていますが、FMEAではそのような手段は特別準備されていません。

機械、電気、化学、などの専門家によるチーム編成やトラブル事例の活用によって抜け・漏れが無いように努める必要があります。

事故トラブル事例の教訓を参考に、ガイドワードを追加して網羅性を上げていきましょう。

化学プラントなら「腐食」「摩耗」「発熱」などキーワードが数多くあります。

優先順位付けと対策

FMEA手順

故障モードの重要度評価によって優先順位付けを行います。

もちろん故障モードそのものを完全に解消してしまうことが理想的ではありますが、すべて実現できるわけではありません。

そこで大きく2つの方向性でリスクを下げる処置を検討していきます。

被害の程度(重大性)を下げる

重大性を下げることは、特にケガに結びつく状況において重要となります。

  • 例)保護具の着用
  • 例)破損しても深刻なケガにならないような安全ガラス

発生頻度を下げる

ケガに結びつかせない、という観点から発生確率や作業回数を下げる操作が有効です。

  • 例)作業の必要性を見直し、頻度削減
  • 例)安全停止装置と緊急時遮断装置設置

FMEAの体制

チームとしての規模は通常4人から6人であるが、各専門分野(製造、技術、材料、保全)などからチームは代表で構成します。

プロセスや製品に関する習熟度が異なるメンバーで構成されているほうが良いです。

プロセスをよく理解している人から役立つ意見が得られるはずですが、よく知らない人は客観的な考えを持ち込むことができるでしょう。

FMEAの用途

化学プロセスの安全から始まったFMEAですが、様々な分野でのリスク評価方法として活用することができます。

安全性

安全上の問題が発生する前に問題を予測・解消するプロセスを改善する為に用いられます。

製造の設備だけでなく、製品の安全性を確実にするためにも用いることが可能です。

経理/財務

財務戦略の決定や信用度または投資リスクの評価に有効に使うことができます。

疑わしい信用履歴のある見込み客に対してFMEAを行うことで、顧客信用を損なう事柄や信用の破綻が与える影響などを評価し、財務リスクの減少に結びつけることができます。

ソフトウェア設計

航空輸送、医療、銀行などでソフトウェアのバグがあると重大な災害になりかねません。

ソフトウェアの設計品質FMEAでは、問題が発生する前に識別することで解消できます。

情報システム/テクノロジー

ソフトウェア/ハードウェア/システムなどの問題が原因でコンピューターの誤作動は起こり得ます。

FMEAによって情報システムの設計と据え付けを強化できるようになります。

マーケティング

不快感を与えるまたは誤解を招くおそれのある宣伝を識別するために活用できます。

潜在的なリコールやトラブルに対して、事前に計画し、対処することができますね。

人的資源

計画と実際の組織の再構築とを関係づけるために活用できます。

まとめ

今回の記事はいかがでしたでしょうか。

ぜひともリスク評価手法を身に付けて、安全な職場づくりを目指していきましょう。

  • この記事を書いた人

しば

30代前半、製造現場の最前線で管理者を務めています。 文献や実践から得られた学びをこのブログを通じてみなさんと共有していきたいと思います。

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