
・働きがいのあるいい会社ってどんな会社なんだろう?
・今働いている会社って「いい会社」の定義に当てはまるのかな?
・今いる会社、職場をいい場所に変えていくにはどうしたらいいのかな?
そう考える方ももちろん多いと思います。
「いい会社」と周りに問いても返ってくる答えは三者三様で、定まりにくいもの。
しかし世の中には、「働きがい」や「いい会社」について調査・研究している方々がいるのです。
そういった情報をまとめましたので、今回紹介します。
この記事を読めば、あなたは以下のことに気付けるはず。
自由なメモ
・就職希望者:就職先に選ぶべき価値・基準が明確になる
・社会人:今いる職場が優良企業なのか、そうなろうと努力しているのかがわかる
・今いる職場を変えるためには、どんな方向性で努力すべきかがわかる
きっと会社のことがもっと好きになったり、比較してみたくなるはず。
ぜひ最後までお付き合いください。
仕事のやりがい、働きがいとは?
仕事のやりがい、働きがいに関わる理論や考え方をいくつか紹介します。
知識労働者
ピーター・ドラッカーは、肉体労働者との対比で、知識労働者という言葉を定義しています。
知識労働者の場合、目的から考え、その目的に沿って仕事をデザインしていく必要がある職種。
また、知識労働者は自身の仕事に関して、上司より詳しくなければいけない専門職のことです。
情報があふれる時代ですから、企業には、自ら価値を生み出す人材の割合がますます増えていきます。
その知識労働者に対してどうすべきか、ドラッカーは以下のように述べています。
オーケストラの指揮者のようにマネジメントしなければならない。あるいは、仕事そのものから満足が得られるようにマネジメントしなければならない。ボランティアの人たちに動機づけるようなものである
またリチャード・フロリダは、創造的な仕事に従事するクリエイティブ・クラスを定義しています。
クリエイティブ・クラスは、金銭的な動機よりも、むしろ内発的な動機によって働いている。
ここでいう内発的動機は、以下のような「やりがい」です。
- ワクワクするようなプロジェクト
- 卓越した技術が求められる仕事
- 自分のアイデアが活かせる仕事
彼らクリエイティブクラスには、職場環境、仕事のやり方、時間などの「柔軟性」、「仲間うちからの評価」を整えてやることで「仕事のやりがい」を促進します。
クリエイティブ人材のマネジメントに必要なことは、成功するために試行錯誤し、実験し、形式的にならず、多様な考えを受け入れるような環境が必要であるということです。
管理者側は、信頼できる人材を配置し、鼓舞し、辛抱強くコミットしていきましょう。
X理論とY理論
X理論、Y理論は、マサチューセッツ工科大学のダグラス・マグレガーが提唱した理論です。
X理論とは?
X理論では、会社の業績が上がらないと、従業員が原因とみます。
- 普通の人間は生来仕事が嫌い
- たいていの人間は、強制されたり、統制されたり、命令されたり、処罰するぞとおどされたりしなければ、企業目標を達成ふるための力を出せない
- 普通の人間は命令される方が好きで、責任を回避したがり、あまり野心を持たず、何よりもまず安全を望んでいる
Y理論とは?
Y理論では、会社の業績があがらないと、その問題をすべて経営者が原因とする考え方に基づきます。
- 仕事で心身を使うのは当たり前のことであり、遊びや休憩と変わらない
- 人は自分で進んで身を委ねた目標のためには自ら自分にムチ打って働くものである
- 献身的に目標達成に尽くすかどうかは、それを達成して得る報酬次第である
- 普通の人間は、条件次第では責任を引き受けるばかりか、自ら進んで責任を取ろうとする
- 企業内の問題を解決しようと比較的高度の想像力を駆使し、手練を尽くし、創意工夫をこらす能力は、たいていの人に備わっているものである
- 従業員の知的能力はほんの一部しか活かされていない
基本的にはY理論を推奨したほうがよいように見えますが、100%そうとも言えません。
個人の状況や成長段階に応じて、考え方を使い分けるべきものです。
ここで言えるのは、「いい会社」は、Y理論を適用しやすい環境にありそうだ、ということです。
働きがいのあるいい会社とは?
米国にGPTW(Great Place to Work Institute)という調査・コンサルティングの研究所があり、働きがいのある会社を発表しています。
彼らがいう働きがいのある会社の定義は以下の通りです。
- 従業員が勤務している会社や経営者・管理者を信頼し、自分の仕事やサービスに誇りを持ち、一緒に働いている仲間と連帯感を持てる会社
より簡単にいうと、
- 従業員と会社・経営層との間に信頼関係が築かれた会社
と言われています。
いい会社では丁寧に経営側と従業員との信頼関係構築に気を配ってきたのではないでしょうか。
「働きがいのある会社」は、会社と従業員の信頼関係の高さを評価していますが、結果としてそれらの会社は、株価上昇率が非常に高く、財務的な面でも優良。
増収増益し拡大し続けられれば、いい商品を開発・生産するための再投資ができ、働く場を提供しやすい「いい会社」なのです。
そのいい会社の共通点とはどこにあるのでしょうか?GPTWは以下のようにまとめています。
いい会社の4つの共通点とは?
- 時代の変化に適応するために自らを変革させている
- 人を尊重し、人の能力を十分に生かすような経営を行なっている
- 長期的な視点のもと、経営が行われている
- 社会の中での存在意義を意識し、社会への貢献を行なっている
つまり信頼、人の能力の最大化、価値観、リーダーシップの有効性、イノベーション、財務的成長が大切なのです。
いい会社とは、国内ではどこ?いい会社の例
では、実際にいい会社とは、どこなのでしょうか。
国内企業で当てはまるのは、以下の会社です。代表を示しますね。
さらに詳しく
- キヤノン(電子機器)
- トヨタ(自動車)
- 武田薬品工業(製薬)
- 花王(トイレタリー)
- 信越化学工業(化学)
これらの企業が数十年にわたって、高成長率・長寿を続けている秘訣はなんでしょうか。
長寿企業の特徴とは?
ロイヤル・ダッチ・シェルグループのアリー・デ・グースが、長寿企業20社について詳細に調査した結果、4つの共通点を見出しています。
- 環境に敏感に対応している。常にアンテナを張って、周囲の動きに合わせて行動を起こしている。環境に適応できなければ、永続することは難しいことを文化としており、積極的に情報をとりにいっている
- 強い結束力を持っている。組織への帰属性、企業の成果と個人の成果を一体化させる特性を持ち、従業員は、自分たちはみな一心同体と信じている。経営者も自分が企業の長い歴史の中の鎖の輪であることを自覚し、行動している。
- 結束力を損なわない限り寛大である。現場の人たちの判断を大切にし、活動の自由度は高い。
- 資金調達は保守的である。慎ましく倹約し、質素を良しとしている。
あなたの会社は当てはまりますか?
利益を追いかけすぎるのではなく、社会と共存するために時代の流れを読んできた会社が、結果として長寿であったのではないでしょうか。
社員一人ひとりと向き合うということ
コンサルティング会社のGPTWでは、米国の働きがいのある会社調査から、「働きがい」を促進する9つの領域をあげています。
働きがいを促進する9つの領域
- Hiring, Welcoming(採用し、歓迎する):自社の企業文化に合った人材を採用し、帰属心や愛着心を高めるような仕組みを実践
- Inspiring(触発する:自分たちの仕事には単なる仕事以上の意味があると思ってもらうための仕組みを実践
- Speaking(語りかける):ビジョンや方針などの重要事項やさまざまな情報を共有化できるための仕組みを実践
- Listening(傾聴する):従業員の生の声や率直な意見を吸い上げ、対応するための仕組みを持ち実践
- Thanking(感謝する):従業員が成し遂げたよい仕事や特別な努力に対して感謝する
- Developing(育成する):有効な育成機会、自己啓発、人事ローテを提供する
- Caring(思いやる):一人の人間として従業員を大切にしていることを示す配慮がある
- Celebrating(祝う):会社の成功を従業員とともに祝っている
- Sharing(分かち合う):公平感を促進するための賃金制度を持っている
9つの領域は、人に対する信頼を基盤としており、一人の人間として従業員として見ていけば、そんなには難しくないでしょう。
短期業績プレッシャー、顧客からのクレーム、終わらない仕事、グローバル競争、変動する需給バランス、求められる高い専門性、スピード、生産性、政治的な駆け引き、嫉妬、羨望、虚栄、不信
が阻害要因となっています。
ダイバーシティ・アンド・インクルージョン
グローバル化やAI化が進み、企業が雇用を継続できないリスクは高まり、キャリアの自律を促すことも必要な社会です。
しかし自律を促しすぎると、自分勝手な社員が増え、組織として成り立たないというのでは本末転倒。
外部環境に耐えられる経営理念をもって、個人を束ねていく。その考えが
「ダイバーシティ・アンド・インクルージョン」
多様性を束ね、包み込むビジョンや目標をもつことです。
多様な人が多様な意見を出し合って、企業を発展させていくエンジンとする一方で、少数派であっても「自分は居場所がある」という感覚を持てるようにすることが大切です。
働きがいのある会社とは?
信頼は相互の感情です。こちらが信頼すれば、相手も信頼するでしょう。
こちらが信頼することは、人にそもそも備わっていることです。
働いている人を信頼し、持っている能力を十分に引き出すことができるかが経営の要諦です。
そういうことができる会社・職場をつくっていきましょう。
職場の雰囲気づくりに関する記事もよく読まれています。どうぞ参考にしてください。
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