工場・現場における熱中症対策およびその症状・原因について解説していきます。

・熱中症に気をつけましょうね、って毎朝作業前に声かけしあうけど本当に対策は十分だろうか?
・夏がくるたびに熱中症の話題になるけど、その原因など細かいことは理解できていないな。
みなさん暑さにやられつつもそんなお悩みを持っているのではないでしょうか。
生産現場で管理者をしているわたしも同じ状況だったので、参考書より情報を得てまとめてみました。
この記事の内容
・熱中症の具体的な予防対策
・熱中症の症状とその原因・メカニズムについて
この記事を読めば、今の職場に足りていること、足りていないことを明らかにできるはず。
熱中症は、ただ休憩時間を長くするだけでなく、水分補給や体の冷却などいくつかの大事なポイントがあります。
ぜひ参考にしていただき、ひとつでも職場に持っていっていただければと思います。最後までお付き合いください。
熱中症の予防対策6選
真夏が到来したら、しっかりとした準備・対策が必要です。
主要な対策6つを紹介していきます。
水分補給
日頃からこまめに水分補給を心がけましょう。汗をたくさんかいたときには、スポーツドリンクや経口補水液を飲みましょう。
成人男性の場合、1日あたり約2〜2.5Lの水分補給が必要量とされています。
コーヒー、紅茶、緑茶、ウーロン茶、アルコール、コーラなどカフェインやアルコールを含む飲料は少なめにしましょう。
また真水の場合だけを大量にとるのも血液中のミネラルが減少するので注意です。
ミネラル補給のため、塩飴や塩ラムネと併用して摂取しましょう。
ハイポトニック飲料は、体液の浸透圧より低く調製され、水分の吸収スピードが速いのが特長です。
発汗が多い作業後に準備しましょう。
薄めのアクエリアスが飲みやすいと職場では好評です。
食事をしっかりとる
食品で水分を摂ることも大切です。汗で失われる塩分も食事で補給することができますよ。
測定して注意喚起する
熱中症の発生を防ぐには、暑い環境になるべく身を置かないことです。
警戒レベル以上であれば、必要以上に外に出ないようにするのが得策です。
作業前に暑さ指数をチェックしておきましょう。
夏場は毎朝作業前にアクセスし、作業者と確認しましょう。どうぞ参考にしてください。
外部リンク熱中症予防情報サイト(環境省)
天気予報の基礎用語
- 夏日:日中の最高気温が25℃以上の日
- 真夏日:日中の最高気温が30℃以上の日
- 猛暑日:日中の最高気温が35℃以上の日
つめたい飲み物を持ち歩く
飲料は5〜15℃で吸収がよく、冷却効果も大きくなります。
外出するときには、冷やした飲料を保冷効果の高いボトルに入れて携帯しましょう。
さまざまな種類がありますが、やはり保冷ボトルではサーモスの機能性が高くおすすめです。
工場でも用いてきた空気で断熱する技術はホンモノですね。
体調を整える
日頃の体調管理の心がけが大切です。
十分な睡眠をとるなどして体調を整えましょう。
作業前日の深酒は脱水症状のもととなるので避けましょう。
暑熱順化で熱中症を防ぐ
暑さに耐えられる身体へと順応することを「暑熱順化」といいます。
暑くなりだしてから約2週間は危険性が高まるため、仕事のペースを落とし休憩時間や回数を増やして身体を慣らすことも心がけましょう。
急に暑いところに身を置かないという観点では、熱を逃がすことも重要です。
作業者を冷やすクーラーも要るでしょう。
一例として、首回りを効率的に冷やせるグッズを紹介します。
またヘルメットの内側にこのクーラーを入れると頭部をよく冷やすことができますよ。
熱中症の原因とメカニズム
最低限知っておくべき熱中症の原因とメカニズムを説明していきます。
熱中症の原因
熱中症の発生を防ぐには、環境、体調、行動に注意していく必要があります。
以下の要因より、職場のメンバー一人ひとりの特徴に応じて助言・声掛けをおこなっていきましょう。
環境要因
- 気温が高い
- 湿度が高い
- 風が弱い
- 日差しが強い
- 急に暑くなった日
身体要因
- 高齢者、乳幼児、肥満
- 持病がある
- 低栄養状態
- 朝食を食べない習慣
- 脱水状態(下痢)
- 体調不良(二日酔い、疲労、寝不足)
行動要因
- 激しい運動
- 慣れない運動
- 長時間の屋外作業
- 水分補給がしにくい
なかでも高齢者の熱中症が多いので要注意です。熱中症で死亡する人の8割以上が65才以上の高齢者。
発汗量を調節する温度センサーの感度と喉の渇きを感じるセンサーの感度が年齢とともに低下していることが原因です。
熱中症のメカニズム
熱中症とは、高温・多湿の環境に対して、体が適応できず体温がうまく調節できなくなることで高体温となり、その結果さまざまな臓器が障害を受けることによって発症する疾患です。
体温調節機能を正常に保つことが必要ですが、余分な熱を逃がすうえで大切になるのが汗と血液です。
発汗して汗の蒸発がなされ、また血液の循環により熱の放出がなされることで体温を保つことができます。
実際に熱中症にかかったときに病院や会社とのやりとりの際に参考になるので、重症度についておさえておきましょう。
重症度の分類
一般的に、熱中症の重症度は3段階に分けられます。
Ⅰ度の症状であれば、すぐに涼しい場所へ移動して、体を冷やしたり、水分補給をさせたりしましょう。
重症度I度(軽度)
- めまい
- たちくらみ
- 大量の発汗
- 手足のしびれ
- 筋肉痛
重症度Ⅱ度(中等度)
- 頭痛
- 吐き気、嘔吐
- 倦怠感、虚脱感
重症度Ⅲ度(重度)
- 意識障害
- けいれん
- 手足の運動障害
- まっすぐ歩けない
めまい、たちくらみなど人によっては日常的におこりうるものもあり、軽度の段階でのサインを見逃してしまう場合も多いです。
高温多湿の環境下では、特に初期症状を見逃さないようにしましょう。
経験的にも、前日飲酒して脱水症状気味だったとか連日の現場作業で食が細くなっていた、など少し前から蓄積している傾向にありますので、朝イチの顔色・顔つきチェックも大切ですよ。
実際に熱中症になったときの応急処置のポイント4つ
早期発見・認識、早期対応することが重症化させないためのポイントです。
応急措置のキーワード4つを紹介します。
- 水分補給
しっかりと水分を摂りましょう。
汗をかいているなら水よりも経口補水液を。
- 冷却
涼しい場所で冷たいものを飲ませ、濡らしたタオル、保冷剤や冷たいペットボトルを首すじや脇の下に当てましょう。
足を高くして心臓への血液を増やしましょう。
直接冷水をかけたり、うちわで扇いで身体を冷やすのも効果的です。
- 安静
ベルトやボタン、ネクタイなど身体を締め付けているものをゆるめ、症状がおさまるまで涼しいところで安静にしておきましょう。
- 119通報
水が飲めないほど、意識がもうろうとしていたら危険なサインです。
救急車が来るまでの間、身体を冷やしながら注意深く様子を見て、救急隊員に経過や状況を伝えましょう。
熱中症対策は、適切な労務管理と疲労管理から。
今回は「工場・現場向け熱中症対策6選。管理者として知るべき原因・メカニズム・応急処置も解説。」としてまとめました。
近年、夏の暑さが勢いを増している中、高温に加えて日本は多湿であるので非常にリスクが高いです。
しっかり対策を行い、熱中症による傷病者ゼロを目指していきましょう。