
・ヒューマンエラーの対策をしたいけど、個人の意見に引っ張られて決めつけた対策になっていないかな。方向性が間違っていないか不安だな。
・ヒューマンエラー対策の「型」がわからないまま、周知や教育ばかりに頼ってしまって、実際の現場の運転や設備の改善が進まないな。
そんな悩みをお持ちの方も多いかと思います。
今回はその悩みにこたえる形で、ヒューマンエラーに対する対策の方向性(戦略・戦術)を体系的に示していきたいと思います。
この記事の内容
・ヒューマンエラー対策の方向性の概要がわかる
・対策のヒントとなる11個のポイントがわかる
この記事を書いているわたしは、この11個のポイントを頭にいれることで、生産現場の管理者の立場から改善の方向性を伝えることができるようになりました。
今回はその考え方を理解して、職場のメンバーがつねに現場の改善に向き合い続けているような、よりよい職場風土をつくっていきましょう。
ヒューマンエラー対策の方向性
ヒューマンエラーを根本からしない/させないことが最大の防止対策となりますが、費用や技術的な限界などの観点からすべての案件を「完全にゼロ」にすることは困難です。
そこでヒューマンエラーがきっかけとして発生する人的、物的、金銭的な損害を可能な限り小さくしていく方向で考えていきます。
対策の方向性としては大きく2つです。
エラー自体の発生の防止
エラーの発生回数を減らすには、エラーが起こりうる作業を減らす
人間がたくさんの作業を行えば行うほど、エラーをする頻度は増えていくのです。
エラーの発生回数の式
発生回数=作業回数×エラー発生確率
エラーが損害に結びつく拡大の防止
エラーの発生をゼロにするのは不可能に近いので、エラーの影響が
エラーはいつか必ず起こる、という考えのもとで、たとえ発生しても事故や損害に結びつかないようにしておくことを検討しましょう。
ヒューマンエラー対策11のガイドライン
1.やめる
必要のない作業をできるだけやめる、または危険そのものをできる
そもそも工場停止時の安全な状態にしか工事しない、等がひとつの
とくにエラーした時に重篤な労災や保安事故につながる恐れのあるリスクが大きい作業に関しては、「やめる」を意識しましょう。
2.できないようにする
人間の特性から考えると、エラーを誘発しない周囲の環境をつくる
カバーを外さない限りスイッチが操作できないようにする、がひと
3.わかりやすくする
人間の認知特性を考慮し、わかりやすくすることで情報処理にかか
弁の開閉状態をひと目でわかりやすくマーキングする、がひとつの
4.やりやすくする
なるべく負担をかけずに作業できるようにすることで、的確な作業
踏み台を設置して弁操作をしやすくする、がひとつの例です。
5.知覚させる
周囲の状況を正しく知覚させることで、エラーの未然防止を図りま
高速道路で坂や速度の変化を知覚させる標識を用意する、がひとつ
6.認知・予測させる
人間は五感を通じて入ってきた情報と、自分の知識を照会して認知
知識を多く持っていれば、それだけ適切に判断できるようになりま
危険予知活動による感受性向上が対策の例です。
7.安全を優先させる
安全を優先させる価値観、安全を優先させる判断基準が必要です。
8.能力をもたせる
知識や技能を修得・維持できる教育プログラムを整備することが重
ノウハウだけでなくノウホワイの伝承すること、チェック作業を複
9.自分で気づかせる
エラーをまずは自分で気づくようにする方法です。
指差呼称や再チェック等が対策となりますが、一般に自分で自分の
10.検出する
間違えたときにアラームを鳴らすことまでせずとも、割り印を付けたり工具の置き場に印ををつけることで足りなくなった場合にでもすぐにわかるようになります。
11、備える
最悪の場合に損害を小さくできるようにする方法です。
高所からモノを落としても引っかかるような防護ネットを敷いたり、燃える懸念がある場所を防護壁で覆って損害を防ぐなどが例です。
まとめ
今回の記事はいかがでしたか。
エラーをゼロにすることは非常に難しく、避けることはできません。
エラーができるだけ起きないようなシステムづくりやエラーが発生しても被害が拡大しない備えをしていきましょう。
ヒューマンエラー発生原因に関する記事もよく読まれています。どうぞ参考にしてください。
関連記事ヒューマンエラー発生の原因とメカニズム。エラーを誘発する人間の3つの特性を解説【ヒューマンファクター】
-
ヒューマンエラーの分類と発生原因とは?人のエラーを誘う3つの特性を解説【ヒューマンファクター】
続きを見る