
・ヒューマンエラーが続いているけど、ミスした人を責めて再発が防げるものだろうか?
・ヒューマンエラーを減らすためには原因をどう考えたらよいのだろうか?
・考え方の「型」がわかればもっとすんなり考えられるはずなのに、よくわからない。
そう考え、悩まれる方も多いと思います。
今回はその疑問に答えるために、ヒューマンエラーの発生要因を示す概念モデル「m
ヒューマンエラーによる事故がクローズアップされていく中で、人
この記事の内容
・ヒューマンファクターのモデル「m-SHELモデル」の概要を学ぶことができる
・失敗した人自身に目を向けるのではなく、周りのどんな環境に目を向ければヒューマンエラー再発防止へ向けた建設的な議論ができるかわかる
この記事を書いているわたしは、m-SHELモデルの考え方を職場内で共有することで、「失敗した人を責める文化、失敗することは後ろめたい文化」から「失敗した人を取り巻く環境をどう改善するか考える文化」へ好転させることができつつあることを体感しています。
今回はその定義と考え方を理解して、よりよい職場風土をつくっていきましょう。
m-SHELモデルとは?その定義
東京電力の河野氏が提唱するm-SHELモデルは、ヒューマンフ
もとはEdwardsやF.H.Hawkinsが「SHELモデル」として、提案していたものをm-SHELモデルとして発展させたものです。

m-SHELモデルの概念図
作業する人を中心に、その周りにある要素(ハードウェア、ソフトウェア、環境、周りの人)を表したものです。
その一覧を以下の表に示します。
要素 | 例示 |
---|---|
L:Liveware(中心のL) 本人 | 身体的状況 |
心理的・精神的状況 | |
能力(技能・知識) | |
H:Hardware ハードウェア | マシンインターフェース |
機器の設計 | |
機器・配管の配置 | |
S:Software ソフトウェア | マニュアル |
手順書 | |
教育・訓練用教材 | |
E:Environment 環境 | 作業環境(照明・騒音) |
作業特性(非定常作業、起動・停止作業) | |
L:Liveware(下のL) 周囲の人 | コミュニケーション |
リーダーシップ | |
チームワーク | |
m:management 管理 | 組織・体制 |
職場の雰囲気づくり | |
安全文化の醸成 |
m-SHELモデルのポイント
ポイントは以下の2つです。
m-SHELモデルのポイント
- 中心に人間を置いていること
- それぞれの要素が中心の人間と隣接して表現されていること
つまり隣接する要素同士がうまくかみ合っていないとヒューマンエ
中心の「L」は体調や疲労で状態が容易に変わります。また、加齢により徐々に、しかし大きく変化します。
ソフトウェアに「S」にしても、作業内容や手順の改定、作業要領書の様式変更もしばしばあることです。
ハードウェア「H」は、道具の摩耗や、機械の故障、また部品の交換などで状態は同じであり続けることはありません。
環境「E」に関しても当然昼夜、天候、作業環境などが常に変わります。
中心の「L」と周囲の「SHEL」とのマッチングをとるために、全体を眺めてバランスをとるのが「m」のマネジメントです。
人間側から機械や手順書に歩み寄る、つまり訓練や教育でいまある
特に人材不足が叫ばれる昨今では、訓練や教育一辺倒で対応することは困難であり、機械を操作する側に立って、操作する人が間違い
人間中心のシステムを構築するメリット
システムをより人間中心的にすることで、多くの経済的、社会的利
システムのユーザビリティを上げることでのメリットは以下の通り
人間中心のシステムのメリット
- 理解および使用を容易にし、訓練およびサポート費用を削減する
- ユーザー満足度が上がり、不満とストレスが解消
- ユーザーの生産性および組織の運用効率が改善
- 製品の品質が改善し、商品の競争力を有利にできる
まとめ
今回の記事は「m-SHELモデルとは?ヒューマンファクター工学にもとづくエラーの6つの要素を解説」について書いてきました。
人間中心に設計することで、システムを単に使いやすくするだけで
そしてパフォーマンス向上や生産性向上にもつながります。
人間の特性に合わせて周りの環境を変えていくことを目標としましょう。
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