生産性・仕事術

マーケティングとは?工場勤務でも知っておきたいコトラーのマネジメント理論

マーケティングとは?工場勤務でも知っておきたいコトラーのマネジメント理論
最高の製品さえつくっておけば、自然に売れるからマーケティングの考え方なんて必要ない!全てはものづくりが中心だ!

とお考えの方もいるかもしれません。

工場でものづくりに携わるわたしもそう考えていました。

しかし今や市場にはモノがあふれる時代。

マーケティングと協力して自社製品の存在を際立たせ、お客様に選ばれる状態をつくり、事業に貢献することがより重要になると考えます。

今回は、マーケティングの第一人者コトラーの提唱するマーケティング理論の基礎について紹介します。

筆者
モノを作ったあと、モノを売って利益を上げるところまでの流れを学んでおきましょう!

マーケティングとは?

そもそもマーケティングと営業、販売の違いってなんなのか?

基本的な定義から入りましょう。

マーケティングの定義とは?

マーケティングとは、販売を不要にすることが究極の目的です。

顧客を知り尽くし、理解し尽くして、製品やサービスが顧客にぴったりと合うものになり、ひとりでに売れるようにすることです。

さらに言い換えると、マーケティングとは人々や社会が求めるものを見極めて、製品やサービスという形で提供し、顧客の期待に応えていく活動です。

マーケティングの対象とは?

マーケティングは製品やサービスだけに限定されるものではありません。

さまざまな分野に応用が可能です。

マーケティングの対象

  • 財(製品):自動車やパソコンなどの販売
  • サービス:航空券を販売
  • イベント:オリンピックのスポンサーを募る、コンサートの集客をする
  • 経験:テーマパークでの経験価値を高める、芸能人が同行するツアーを企画する
  • :俳優や女優のブランド力を高める、政治家が当選するよう運動する
  • 場所:ブランド店を誘致し、魅力を高める
  • 資産:保有する土地や建物の価値を高める、投資会社が証券の魅力を宣伝する
  • 組織:企業が就活生に良いイメージを与える、大学が受験生に対してイメージアップを図る
  • 情報:車の情報を雑誌にして販売する、値上がりしそうな証券情報を販売する
  • アイディア:発明きたアイディアを企業に売り込む

顧客を知る

まずはよく顧客を知ることです。

顧客を絞り込むほど、ピンポイントでより望むものを提供できるようになります。

顧客の絞り込み方法

  1. セグメンテーション
  2. ターゲティング
  3. ポジショニング

セグメンテーション

セグメンテーションとは、大きな市場を特徴に応じて細かくしていく考え方です。

セグメンテーションは、単に条件ごとに顧客をグループ化するのではなく、同じニーズをもつ顧客群に分類することが大切です。

セグメンテーションの切り口

  • 地域ごとに市場を細分化する
  • 年齢、性別、世帯構成、所得、教育水準などで細分化する
  • 消費者を心理面からグループ分けする
  • 製品に対する知識や態度、使用法、反応などでグループ分け

ターゲティング

ターゲティングとは自社の置かれた状況に応じて強みが活きるセグメントに絞る作業です。

ターゲティングの条件5つ

  • 数値で測定できるか?(人数、金額など)
  • 利益を確保できるか?(十分な規模があるか)
  • 顧客に接近できるか?
  • 差別化されているか?
  • マーケティング戦略を実行できるか?

ポジショニング

ポジショニングとは、ライバルのいない空白地に位置取ることです。

自社よりも強力なライバルと同じポジョンをとらないことがポイントです。

ポジショニングのポイント3つ

  • 製品品質に優れた企業
  • 効率的なオペレーションに優れた企業
  • 顧客サービスに優れた企業
筆者
選択した価値基準でライバルに負けないように努力することが重要!

価値を提供する

顧客にとっての価値は、製品やサービスが与える利益と品質で決まります。

ニーズ、ウォンツ、ディマンズとは?

価値ある製品やサービスを生むため、顧客が何を考え、何に悩み、何に喜び、何に不安を感じているかなど刻々と変わる顧客の心を察し、期待に応える製品・サービスを提供することが大切です。

  • ニーズ:顧客が満たされていない状況において、何かで満たしたいという思い(例:通勤時間を短くしたい)
  • ウォンツ:ニーズをさらに具体化したもの(例:バスの本数が少ない、車が混雑している)
  • ディマンンズ:顧客が欲しいと思ったとき、製品やサービスを購入するだけの資金的余裕がある状態(例:車が高過ぎる)
筆者
顧客が求めているのは製品自体ではなく、製品を使うことで得られる利益や悩みの解決であることを念頭に!

製品を差別化する

マーケティングを成功させるには、この会社の製品だからと指名買いしてもらう必要があるのです。

以下の観点で差別化を図りましょう。

差別化の要素
方法内容
形態製品の大きさや形、物理的な構造
特徴 製品の基本的な機能を補う特徴を付加する
製品品質 低い、平均的、高い、最高級から製品の品質レベルを決める
適合品質 同じ製品であれば同じ品質を保つ
耐久性製品が故障せずに使用できる期間を長くする
信頼性製品が誤作動したり作動しなくなるという状況を少なくする
修理可能性 手軽に修理出来るしくみを提供する
スタイル製品の外観を特徴あるものにし、買い手に与える印象を高める

工場の目線からすれば、

  • 他社と比べても圧倒的に安定供給・高品質維持を続ける
  • 顧客が使用するにあたって修理サポートなどを強化する
  • 顧客の要求に応えるべく、さらなる開発を続ける

などマーケティング分析の結果から、強化すべき行動を決めましょう。

競合に対抗する

規模を拡大していくためには、競争相手を特定し、勝つ確率の高い競争を見極めることが重要です。

競争相手を特定する3つのポイント

  • 競合より強いか、弱いか
  • 競合の事業と近いか、遠いか
  • 競合のやり方が良いか、悪いか

強者と弱者の戦略の違い

強い者と弱い者では、マーケットでの戦い方が異なります。

それぞれの戦い方は以下の通り。

強者(業界トップランナー)の戦略弱者の戦略
優れた製品性能製品イノベーション
大規模かつ効率的な販売網廉価品の投入
優れたサービス製造コストの削減
フルライン戦略流通イノベーション
良い支払条件広告プロモーションの強化

当然トップランナーは資本力にものをいわせて力でねじ伏せる戦略をとることができます。

一方弱者の視点から見ていくと、リーダー企業の弱みをついて、自社の勢力を増していく方法がよいでしょう。

筆者
弱者が部分的に狙いを定めて強者へ立ち向かう方法を「ランチェスター戦略」とも呼ばれますね!

ブランド構築のポイント

アップルやトヨタ自動車のようにある程度ブランド力のある企業ではなく、小さな事業からブランドを育てていくためには、次の7つが重要なポイントです。

  1. 業界の慣例を破り、常に新たなことに挑戦し続ける
  2. 指針となるアイデンティティを打ち立てる
  3. その分野でリーダーだと考えてみる
  4. 1点にフォーカスする
  5. 能力以上の約束をする
  6. パブリシティと広告を利用して話題を集める
  7. 消費者志向ではなく、アイディア志向となる

 

顧客を買う気にさせる

消費者に価値を適切に伝えるためには、プロモーション戦略が重要な役割を果たします。

プロモーションの手段
プロモーションの種類詳細
広告印刷広告、放送広告、パッケージデザイン、映画、パンフレット、チラシ、ポスター、店舗ディスプレイ、ロゴ
販売促進コンテスト、ゲーム、賞金、くじ、景品らサンプリング、見本市、クーポン、リベート、接待
イベントスポーツ、エンターテインメント、フェスティバル、アート、工場見学、企業ミュージアム、該当活動
PR講演、セミナー、年次報告書やロビー活動
ダイレクトマーケティングカタログ、郵便、ネット通販、FAX、メール
人的販売実演販売、販売会、サンプル

広告

最も一般的に活用されるプロモーション戦略である広告について触れておきます。

ターゲット顧客の動機を見極めた上で「5つのM」と呼ばれるプロセスを決定します。

広告の5つのM

  • ミッション(Mission):売上目標と広告目的を明確にする
  • 予算(Money):どのくらい資金をかけるか決める
  • 媒体(Media):利用するメディアを決める
  • メッセージ(Message):ターゲットの心を動かすメッセージをつくる
  • 評価(Measurement):コミュニケーション効果や売上効果を測定し、評価する
筆者
「心を動かすメッセージ」のような芸術性と予算・評価などの定量性が求められます

顧客との関係をつくる

1度買ってもらってはい、終わりではなく顧客とは長期的関係を築くのが大切。

  • 金銭的利益の付与:継続利用特典、会員制クラブなど
  • 社会的利益の付与:カスタマーサービスなど
  • 構造的結びつきの付与:長期契約割引、ボリュームディスカウント、製品にサービスを付与する(iTunesやApp Storeなど)

まとめ

「マーケティングとは?工場勤務でも知っておきたいコトラーのマネジメント理論」についてまとめてきました。

マーケティングとひと言でいってもさまざまな活動があることがわかりますね。

製品やサービスの作りこみから、顧客に届くまでの一連のチェーンが重要であるし、現場の指針や目標を決めるためにも市場の声を聞くことは重要だと考えます。

マーケティング部門や営業部門から生産現場へ相談のある案件は、ぜひ改善のタネとして前向きに取り組んでいきましょう。

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  • この記事を書いた人

けびん

30代前半、製造現場の最前線で管理者を務めています。 文献や実践から得られた学びをこのブログを通じてみなさんと共有していきたいと思います。

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