今回の記事では、製造業の重要な戦略である「生産方式 」に着目してまとめました。
業界ごとに得意な生産方式がある一方で、まったく未知の領域もあ
歴史ある生産方式であっても、今後も長く使える思考ばかりです。
こんな方におすすめ
- 新しい工場やプロセスを構築するので、生産方式を学びたい
- 自分が関与する工場がどんな方式を採用しているのか知りたいとき
- ほかの生産方式のいいところを学びたいとき
そんな方にこの記事を活用していただければと思います。
6つの生産方式をまとめました
旧来からよく用いられている6つの生産方式をまとめました。
6つの生産方式
- トヨタのかんばん方式
- デルのBTO方式
- キヤノンのセル生産方式
- サプライチェーンマネジメント
- TOC(制約理論)
- OEM方式
トヨタのかんばん方式
かんばん方式は、トヨタの副社長であった大野耐一さんが生み出し
かつては生産工程を細分化して、作業を分担しわ流れ作業でつくる
上図の通り、製造個数と納品時期が明確となり、在庫を最小化することができました。
前工程と後工程のサイクル
後工程が必要になった部品を、必要なときに前工程に取りに行きま
前工程は、後工程が引き受ける部品を生産・補充することで、倉庫
前工程と後工程が、帳票(かんばん)を使ってやりとりすることな
デルのBTO方式
BTO(Build to order)とは、パソコンメーカーなどで採用された受注生産で
パソコンメーカーのデルが顧客に直販することで、中間マージンを
パソコンも過去の勢いがなくなってきたため、次第にBTOのメリ
現在は自動車業界が導入し、在庫を最適化しています。
DELLのBTO方式のメリット
- ITや生産技術の組合せで低コストに生産できるようになりました。
- 顧客が自由に製品をカスタマイズして注文できるようになり、法人以外にも人気が出るようになりました。
- 売上のあとに部品の支払が発生するので、キャッシュフロー上赤字になりにくく、財務上のメリットがあります。
キヤノンのセル生産方式
キヤノンのセル生産方式とは、1人もしくは少人数の作業員が、部
この生産方式は、大量生産には向きませんが、多品種少量生産に対
キヤノンの生産方式のメリット
- 省スペース、小規模ですむことから、設備投資が少なく済みます
- 複数の工程を扱うため作業員の満足度が高いメリットがあります。ただし作業員の技量でラインの制約が決まってしまいますので、注意しましょう。
- 少人数のため、仕掛品が発生しにくいです。つまり在庫削減によるコストメリットが得られるのです。
サプライチェーンマネジメント
企業間で情報を共有し生産効率を高める手法をサプライチェーンマ
サプライチェーンとは、開発から製造、販売に至るまで、消費者に
この最適化には情報の共有化が必須ですが、取引先にどこまで情報
従来は個別に効率化を図るしかなく、さまざまな部分でムダがあり
TOC(制約理論)
TOC(Theory of constrait)とは、サプライチェーン全体の能力は、一番
ボトルネック(一番細い部分)を改善しない限り、その他の部分を
24時間連続操業の化学工場などでは昔から一般的な考え方です。
TOC(制約理論)の特徴
- 生産能力の強さは一番能力が弱い制約(ボトルネック)に支配されるため、常にボトルネックに目を光らせておく必要があります。
- 制約の改善策を優先し、生産性の向上に力を入れましょう。
- PDCAで繰り返し改善することが大切です。
OEM方式
OEM(Original equipment manufacturing)とは、リスクを最小限に抑えて製品を生産したいときや、自社に企
生産を担当するメーカーをOEMといいます。
OEMを活用に関しては、化粧品のDHCなどが有名です。
OEM生産方式のメリット
- 設備投資せずに生産を始めることができ、事業リスクを抑えることができます。
- OEMメーカーの製造能力に頼ることができるので、自社で生産体制をつくるよりも良質な製品をつくることができます。
- 販売元は工場を持つリスクを避けつつ、OEMメーカーも工場の稼働率を上げることができるので、製造コストを安くできます。
ただしメリットだけではありません。
OEMメーカーがノウハウを蓄積することで、販売元の競合になるリスクもあります。
またOEMメーカとしても販売元のブランド力で商品を売りやすくなるものの、自社ブランドよりも利益率が低下する恐れがあります。
まとめ
今回は「生産性向上につながる生産方式とは?6つの生産戦略について解説」についてまとめてきました。
生産方式の概要まとめでしたが、少しでも参考になれば幸いです。
かつての大量生産による規模の経済を追い求める方式から、徐々に少量多品種生産や高付加価値製品ニーズを生み出す開発力などが重視されてきており、多様な生産方式を知ることが大切です。
時代の変化に対応できるように多様な情報を頭に入れていきましょう。
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