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ルール違反の原因とは?根深い要因の有効な対策方法は「議論」

ルール違反の原因とは?
お悩み社員

  • なぜあの人は違反してしまったのだろうか?
  • ただ叱るだけで本当に今後改善するのだろうか?

こんな思いでお悩みの方もいるのではないでしょうか。

「違反」は石油精製工場、医療、発電所などさまざまな現場だけでなく、車の運転などの日常的な行為においてもときおり発生しています。

例として生産現場で違反が発生した場合、すなわち運転員が標準的な手順から逸脱し省略してしまう場合には、保安事故や労災につながる可能性がありますね。

また近年、作業のほとんどが徹底してマニュアル化され、安全に遂行することを期待されています。

その一方で、作業員が許可された行為が非常に制限されてしまい、マニュアルを守るので精一杯になりがちかもしれません。

非常に難しい課題だと感じやすいトピックだと思います。

そこでジェームズリーズン教授が「違反」に対してまとめてきた見解を知れば、前に進めるはずです。

この記事の内容

・違反の3つの原因を知ることができる

・違反の対策方法で最も有効な「議論」を必要性を知ることができる

この記事を読んで、職場のメンバーと共有すれば少しでも好転するでしょう。

少し触れたように、交通違反などにも有効な考え方です。ぜひ最後までお付き合い下さい。

違反の原因は大きく3つある

違反の原因は大きく3つあります。

  1. 日常的な違反
  2. スリルを感じるための違反あるいは楽観的な違反
  3. 状況に依存した違反

日常的な違反

なるべく手を抜いて仕事するため、早く仕事を終わらせるため、スキルを証明するために起こす違反です。

人間の特徴として最小努力の原理が働いてしまい、大きな駆動力となります。

スリルを感じるための違反

男らしく見せるため、退屈しないようにするため、単にスリルを感じるために犯す違反です。

人間は、ロボットと違って仕事を終わらせるだけでなく、個人的な欲望があるためですね。

車の運転の例

  • 本来の目的:A地点からB地点にいくこと
  • その他の目的:スピードを楽しむこと

150kmで突っ走るなどなじみのない経験をすることで、判断力の低下が起こってしまいます。エラーの発生確率が上がるだけでなく災害の大きさも重篤になります。

状況に依存した違反

手順書に厳密に従っていては、仕事を終わらせるのが不可能な時に違反するケースです。

この場合には、作業計画側に非があります。

作業者を是正するよりも作業計画や設備などの悪さを見逃さずに是正しましょう。

 

エラーと違反には明確な違いがあるので注意

ここで対処や対策を考える前に、一般にあいまいにされがちな「エラー」と「違反」の違いを解説しましょう。

混同してしまって間違った対処をしている人とも共有することが大切ですよ。

意図

「エラー」は意図的ではないですが、「違反」は故意的に手順の違反を犯してしまいます。

ただし人は違反行為を意図的に実施する一方で、災害や労災を起こそうとしているわけではないことに注意すべきです。

意図的に災害を起こそうとする凶悪犯はごく一部です。

情報

エラーは、情報伝達の問題から発生することが多く、正しく情報を与えることで矯正できます。

しかし多くの違反は、動機づけ、信念、態度、規範など、組織文化の問題から発生する根深いものです。

一般に職場で大きな問題になりやすいのはこのパターンです。

属性

男性は女性よりも多く違反し、若者は年長者より違反します。「エラー」にはその傾向はありません。

若い男性は一般に無理して失敗してでもちゃれんじしてみよう、という心理が働きやすいと言われています。

適正な手順に違反する理由

ではもう少し具体的に、適正な作業手順に違反してしまう心理を3つに分けてみましょう。

行動する態度

違反することで得られる利益を知っており、可能性のあるリスクや罰則がそれを上回るはずがないと思い込むことです。

主観的な基準

特定のメンバー(親戚、仲間、友達)が自分を支持してくれるはずと思い込むことです。

限られたメンバーに賞賛・尊敬をうけても何のメリットも無いはずですが、そうなりがちです。

認知された行動コントロール

違反行為を行うにあたり、あまり規則や手順に制約を感じていないケースです。

管理者がみてみぬふりをしている、など作業者が規則遵守の認識を失うような行動をしてはいけません。

違反を減らす対策

では特に「行動する態度」と「主観的な基準」に対して、作業者にどうアプローチしていくべきかを説明します。

なお計画に無理があったり、管理者が違反を許してしまう、など環境要因を作り出してしまっているのは管理者側・計画作成側の問題ですので、ここでは割愛します。

行動する態度に対して

不安全な行動が引き起こす被害を強調したポスターや動画で怖がらせることで、規則遵守へ導くことです。

ここは危険予知活動にもつながってきます。

いかに作業前に重大な危険性を抽出できるか、現場の知識と危険予知力が高ければ、違反してしくじったときの恐ろしさを理解できるはずです。

主観的な基準に対して

特定のメンバーの考えに引っ張られて偏った考えに陥った状態を是正する必要があります。

信頼する人が、自分がやろうとしたことに強く反対していると認識すれば、違反行為に移る前に考え直すでしょう。まずは上司・管理者が自ら違反していたメンバーの行動が正しいかを確認していきましょう。

また社会的なコントロールを高めるためには、グループディスカッションが最も有効です。

10,000kmあたりの事故件数(スウェーデンの研究)

グループディスカッションを通じて、その後の2年間で交通事故件数が半減した、というデータもあります。

ディスカッションのメリット

  • ディスカッションを通じて安全への価値観を全員に可視化するこ
  • 安全に運転する動機づけをおこなうこと

人の行動プロセスを変えるのは非常に難しいことなので、段階的な対処が必要です。

人間の本能的なモチベーションの5段階

  1. 無意識
  2. 静観
  3. 決心する
  4. 実際にやめてみる
  5. 継続すること

行動の変化には多くのステップがあり、いまどの段階にいるのかを把握するものも難しいことです。

しかし少しでも気持ちの変化が外部から見えてくれば、かなり進歩があるんですね。

コツコツと働きかけを続け、注意深く観察していきましょう。

氷山のようにわずかに見えているだけ、あるいはあと一歩で変化が見えてくるかもしれませんよ。

人の意識の氷山モデル

人は急に変わらない、だからコツコツと

今回は「ルール違反の原因とは?根深い要因の有効な対策方法は「議論」」について説明してきました。

他人を変える、ってことは本当に難しいことであり一朝一夕にできるものではありません。

一夜で変わるなどと考えずに、コツコツと挑戦していきましょう。

  • この記事を書いた人

しば

30代前半、製造現場の最前線で管理者を務めています。 文献や実践から得られた学びをこのブログを通じてみなさんと共有していきたいと思います。

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