持続可能な開発目標(SDGs)について解説していきます。

・SDGsってどんなこと?どんな取り組みをしているの?先行している企業はどんな取り組みをしているの?
・ESGやPRIなどSDGs関連のキーワードがあるけど、よくわからない。
そんなお悩みをお持ちの方も多いかと思います。
全世界で共通の目標ですから、企業や団体が徐々に取組みを始めています。
そんな状況についていくべく、企業に勤めるわたしがSDGsについてまとめました。
SDGsは以下の特徴を有しています。
SDGsの3つの特徴
- SDGsは、先進国にも途上国にも共通の目標
- SDGsは、望ましい未来像からさかのぼって思考し策定したもの
- SDGsは、内容からも資金源からも、企業の参加なしに達成しえない
SDGs(持続可能な開発目標)とは?
SDGsとは、持続可能な開発を続けられる経済・社会の実現のために国連が定めた国際的な目標のことです。
2015年に開催された国連持続可能な開発サミットで成果物として採択されました。
過去、以下のいくつかの国際会議で持続可能な開発について議論されてきましたが、これまで未達成だった目標(貧困や飢餓など)やさらに幅広い課題(気候変動や格差拡大)が山積していました。
これらの課題に取り組むために目標をまとめたものがSDGsです。
持続可能な開発にかかわる過去の国際会議
- 1992年 地球サミット
- 2000年 国連ミレニアムサミット
「ミレニアム開発目標(Millenum Development Goals:MDGs)が採択 - 2002年 ヨハネスブルク・サミット(持続可能な開発に関する世界首脳会議)
- 2012年 リオ 20(国連持続可能な開発会議)
- 2015年 国連持続可能な開発サミット
- 持続可能な開発のための2030アジェンダを採択
- 持続可能な開発目標(Sustainable Development Goals:SDGs)が明記される
SDGs17の目標とは?
SDGsの17の目標は以下の通りです。
これらの17の目標の中に169のターゲットが設定されています。
SDGsの17の目標
- 貧困をなくそう:あらゆる場所のあらゆる形態の貧困を終わらせる
- 飢餓をゼロに:飢餓を終わらせ、食糧安全保障および栄養改善を実現し、持続可能な農業を促進する
- すべての人に権能と福祉を:あらゆる年齢のすべての人々の健康的な生活を確保し、福祉を促進する
- 質の高い教育をみんなに:すべての人に包摂的かつ公正な質の高い教育を確保し、生涯学習の機会を促進する
- ジェンダー平等を実現しよう:ジェンダー平等を達成し、すべての女性及び女児の能力強化をおこなう
- 安全な水とトイレを世界中に:すべての人々の水と衛生の栄養可能性と持続可能な管理を確保する
- エネルギーをみんなに、そしてクリーンに:すべての人々の安価かつ信頼できる持続可能なエネルギーへのアクセスを確保する
- 働きがいも経済成長も:持続可能な経済成長及び生産的な雇用と働きがいのある人間らしい雇用を促進する
- 産業と技術革新の基盤をつくろう:強靭なインフラ構築、時速可能な産業化の促進及びイノベーションを促進する
- 人や国の不平等をなくそう:各国内および各国間の不平等を是正する
- 住み続けられるまちづくりを:安全かつ強靭で持続可能な都市・人間居住を実現する
- つくる責任つかう責任:じぞっ可能な生産消費形態を確保する
- 気候変動に具体的な対策を:気候変動及びその影響を軽減するための緊急対策を講じる
- 海の豊かさを守ろう:持続可能な開発のために海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する
- 陸の豊かさも守ろう:陸域生態系の保護・回復、持続可能な利用の推進、など生物多様性の損失を阻止する
- 平和と公正をすべての人に:持続可能な開発のため、すべての人々に司法へのアクセスを提供する
- パートナーシップで目標を達成しよう:実施手段を強化するために、グローバルなパートナーシップを活性化する
またこれらの目標を達成するための基本原則も大切な考え方です。
上記目標や課題に取り組むときには、必ず適用すべきものです。
- 普遍性:世界に通用する国際目標である
- 包摂性:誰一人取り残さない(子供、難民、移民、など)
- 参画型:当事者や関係者含め全員参加型とする
- 統合性:経済・社会・環境面を統合的に解決する
- 透明性と説明責任:定期的に評価・公表する
なぜSDGsはビジネス上大切なのか?
なぜSDGsへの関心が世界的に高くなり、主要企業が取り組みはじめているのでしょうか?
その理由は以下の3つです。
SDGsへ関心が高まっている理由
- 新規事業や既存事業の拡大につながりそうだから
- 新たな人材獲得のための武器になりそうだから
- コミュニケーションツールとして有効だから
グローバルかつ共通的な課題であるため、どの国に行っても通用するコミュニケーションでありますし、本業がSDGsへ貢献できることとなれば、ビジネスチャンスの拡大や環境や社会問題への関心が高い人材が獲得できる可能性が高まりますね。
世界で戦っていく企業にとっては、グローバル人材が必要不可欠であり、SDGsは無視できない存在になっていくでしょう。
またエネルギーや食品、自動車、住宅、医薬など「製品・サービスとサステナビリティとの関わりがわかりやすい業種」ではSDGsを意識したビジネスモデルの構築が加速しやすい傾向にあります。
PRI(責任投資原則)とESGとは?
聞き慣れないキーワードであるPRIとESGとは何でしょうか?
金融・投資業界においても、SDGsの流れは非常に期待が高まっている中、国連の「責任投資原則(PRI)に後押しされ、SDGsを推進する流れになっています。
責任投資原則(PRI)
私たち機関投資家には、受益者のために長期的視点に立ち最大限の利益を最大限追求する義務があります。この受託者の役割において、環境・社会・企業ガバナンス(ESG)課題が投資ポートフォリオのパフォーマンスに影響する可能性があると考えます。
またこれら6つの原則を適用することにより、投資家が広範な社会の目的を達成できることも認識しています。
したがって受託者責任と一致することを条件に、私たちは以下にコミットします。
- 私たちは、投資分析と意思決定のプロセスにESG課題を組み込みます
- 私たちは、活動的な所有者となり、所有方針と所有習慣にESG問題を組み込みます。
- 私たちは、投資対象の企業に対してESG課題についての適切な開示を求めます
- 私たちは、資産運用業界において本原則が受け入れられ、実行に移されるよう働きかけを行います
- 私たちは、本原則を実行する際の効果を高めるために、協働します
- 私たちは、本原則の実行に関する活動状況や進捗状況に関して報告します
18年時点で2000を超える投資機関が、このPRIに署名しており、投資の意思決定プロセスにSDGsが浸透しつつあるのです。
なおESGは環境(Environment)・社会(Social)・企業統治(Governance)の略称であり、それを包括的に表したものがSDGsです。
SDGsを活用する企業の例3つ
政府は、SDGsの達成に向けて優れた取組を行う企業・団体等を表彰する「SDGsアワード」で表彰を行っています。
それに応えるように第2回「ジャパンSDGsアワード」では247社の企業・団体が応募しています。
毎年4社受賞する中での代表例を3つほど紹介します。
日本フードエコロジーセンター
産学官連携で開発した廃棄物処理業と飼料製造業の2つの側面を持つ新たなビジネスモデルを実現した、第2回の内閣総理大臣賞です。
ごみ処理の問題、畜産経営の課題を解決すべく、余った食品を発酵飼料に変えるという素晴らしいビジネスモデルです。
LIXIL
「途上国でのトイレの設置」というグローバルなビジネスを展開して貧困の解消などに努める姿勢はまさにSDGsと合致していますね。
「世界中すべての人に自分たちの技術を届けたい」という想いがSDGsやビジネスの成功につながるのでしょう。
住友化学
化学メーカーで唯一の受賞会社です。2000年ころに発表されたMDGsの頃からサステナビリティに着目して取り組みを続けてきた姿勢は非常に素晴らしいですね。
マラリア対策(オリセットネット:防虫剤処理蚊帳)は耐久性があり安価に蚊の侵入が防げる優れもの。
会社としてSDGsの意識が浸透されていれば、そういった技術開発にもつながるのでしょう。
日本のSDGsの取り組みはまだまだ始まったばかり
今回は「SDGsとは?企業が取り組むべき持続可能な開発目標について解説」と題してまとめてきました。
「SDGs INDEX AND DASHBOARDS REPORT 2018」によると、日本は全体156か国中15位という高得点を得ています。
しかしその一方で、ジェンダー平等、持続可能な生産消費、気候変動影響緩和、海洋保護、などは非常に点数が低く、最下位レベルの状況です。
17の目標はどれも持続可能な地球のために必要不可欠なもの。
やはりSDGsは社会的な影響の大きい企業を中核とした取り組みですので、私たち一人ひとりが日々の業務で17の目標に繋がるテーマがあるか、意識していきましょう。