今回、職場で部下・後輩を持ったら誰でも一度は困るであろう、指導・育成についてまとめました。

- どうして育成や指導に力を入れないといけないの?
- 指導する気はあるんだけど、うまく指導するための考え方を身に付けたい。
と考える方は多いと思います。
技術伝承や後進の確保は職場や組織の活動を存続させるために必須です。
働く人にとって「人づくり」は大切な考え方。
わたし自身も悩みながら日々多数の部下と接していますが、今回部下・後輩指導の考え方を書いていきます。
なぜ育成・指導が大切なのか?
育成・指導しないと、周りが思ったように動いてくれないので、自分でなんでもやらなければいけませんよね。
チームの成果が上がりにくくなってしまうのは、上司ひとりの能力うんぬんではなく、部下・後輩がしないままの状態を許容しているから。
これはJMA(日本能率協会)が現場管理者の活動内容を調査した結果からも、よくわかります。
現場管理者に関するJMA調査事例
JMA(日本能率協会)の調査で2つのタイプの管理者を比較した結果があります。
タイプ1:大変優秀で全て問題を統制し、指示を下して現場を取り仕切るタイプ
タイプ2:部下と上手にコミュニケーションをとり、部下に権限を委譲しながら仕事を進めることを重視するタイプ

部下の育成・指導に力を入れるほど組織の成果は向上する実験結果あり
当然の結果かもしれません。部下育成の投入時間が、予算達成度やトラブルの程度に直結するのです。
指導・育成によってどんな効果が認められるのでしょうか?
結論は、「どんな優秀な管理者であっても管理者ひとりで製造現場を管理するより、部下の力を伸ばし部下とともに成果創出を図るべきである」ということです。
部下・後輩指導のポイント
- 部下を愛し、信じる
- 率先垂範で事を進める
- 部下を自分と同じ立場に近づけ、モノづくりのプロとして活動する
人がモチベーション高揚させるのはどんなときか?
人を伸ばす、ということは人の成長意欲を伸ばしてやることです。
人が継続的にやる気を起こすには、3つの理由があります。
人が継続的にやる気を起こすポイント
- 目標に近づく確かなプロセスに自信と確信を持つ
- 行動や成果を見て、支えるコーチや同僚がいるとき
- 良きライバルがおり、負けたくないと思って努力する
この3つの原則に合致すると、士気は高まっていくのです。
そこで必要なのは以下のステップです。
- 環境の整備
- 管理者が部下を支援
- 目標達成を図るイメージと確信を持たせる
- 人をみた効果的な支援を図る
大枠でとらえると、上にまとめてきたことですが、心理学的に言われていることがいくつもあります。次で紹介します。
育成・指導に関する心理学: ハーズバーグの二因説
育成・指導に関するハーズバーグの二因説を紹介します。
衛生要因: 仕事そのものではなくそれ以外の要因
- 賃金
- さまざまな付加給付
- 作業条件
- 経営方針
- 上司や同僚、部下などとの人間関係
動機づけ要因: 仕事そのものから得る要因
- 達成(自ら仕事を成し遂げること)
- 承認(自分が褒められ評価を受けること)
- 仕事そのもの(仕事をすること自体に満足すること)
- 責任(任され、責務を果たすこと)
- 昇進(社会的に威信の大きな地位を得ること)
- 成長(技能における成熟)
本人が自主的に活動して、自助努力で目標達成を図ることが大きな動機付けの要因となっています。
また、有名なホーソンの実験より、人はお金だけがモチベーションを高める要因ではなく、仕事を認められることなどの環境条件もモチベーション向上要因となります。
部下育成にあたっての基本的な考え方は?
では実際に指導するにはどんな考え方で進めたらよいのでしょうか?
まずはマインド面から自分に足りないものは何かチェックしてみませんか。
上司の行動理念
- 論より実践、アウトプット(成果)を出すこと
- 正しいマナーを身につけ、人を信頼し、尊敬・感謝の念を崩さないこと
- 常にプラス思考で考え、正しいことを学ぶこと
- 目的、方向が間違っていることに対して、強い信念と行動力を正していくこと
- 悪い点ははっきりいう。陰口をたたかない
- 公明正大・公平に人を扱うこと
- 失敗は自分の責務として扱い、成果は部下を褒めて一緒に喜ぶこと
- 快笑、快足、快眠を心がけること
- 足を使って問題の事実をつかむこと
- 知らないことはハッキリと知らないといい、学んでから答えること
- 自分の立場、責任をハッキリさせること
- 常に目標を持ち、自己と部下育成に努力すること
マネジメントの祖、ドラッガー博士が言うことも深みがあります。
ドラッガー博士による部下育成の基本
- 目標を設定すること
- 組織すること(個々の役割を決める)
- 動機づけすること
- 評価すること
- 部下を育成すること
もちろん戦争の時代に波及した、山本五十六の言葉も大切にしたいですね。
山本五十六の教育方法
- やってみて(率先垂範)
- 言って聞かせて(納得)
- やらせて(委任)、ほめて育てる
これら先人の基本的な考え方をまずは一部でも取り入れていきたいですね。
部下との巡り合わせを幸せととらえ教育し、彼らをプロとして責務を果たすよう叩き込んでいけば自分中心に疲弊する世界からも脱却できるものと思います。
具体的な指導方法は?
具体的な指導に関しては、抑えるべきポイントをまとめます。
主要な方法は2つ。部下の指導のために、カウンセリングとコーチングを学びましょう。
カウンセリングの技術
カウンセリングと書くと難しく見えますが、要は相手あっての仕事ですから、話し方の技術にも気を配ると効果的でしょう。
カウンセリングの技術のポイント
- アプローチ会話(リラックスさせてから話に入る)
- マイナス暗示を与えない: 相手を褒める、立場に同情
- 場面構成: 会社の実績
- プライドを高める: 過去の実績、努力や本人の夢、目標等
- 相手の話を充分聞く: 話の中から提案する。相手の言い分を充分聞く、立場を理解する。
- 自分の本音を話す: 体験談を入れる
- 素直さで筋を通す
- 秘密は守る
- 期待を示す: 君ならできる、あなたしかいない、などプラスイメージで本音を話す
コーチングの技術
コーチングとは、相手のレベルなどを考慮した取り組みによる指導方法です。
コーチする側は目標達成のイメージを明確にしながら、気づきやアイディアを引き出す援助を進めていくことが、コーチングの特徴です。
コーチはまずはとにかく傾聴し、的確な質問を投げかけながら考え方を引き出すようにすること。
相手の考えやアイディアから解決策を見つけたり、それらを煮詰めて納得したり決断するというプロセスが必要です。
コーチの知恵と実力をすべて出し尽くして目標達成へ努力するように道筋を具体化するこのプロセスでは受け手と比べてコーチが話すボリュームは1/20〜1/30程度とできます。
支持的コーチング
メンバーの役割、貢献度を示しやる気や行動の集中を促すために指導的立場で対話する
- 本人の実力があり、精神面で悩みや弱点があると喝を入れる
- スキル面でワンポイントや意義を再確認させるため支持の形で対話
支援的コーチング
本人が迷いや意思決定に不安を感じているときに支援しながら本人の考えの整理決定を促す。
- 心ゆくまで話を聞いてやる
- 過去の体験談を聞いてもらう、話させ、ポイントを強化する
時間が限られているみなさんに知ってほしいコーチング方法としておすすめの一冊を紹介しておきます。
まとめ
今回は「苦手な人でもわかる!部下・後輩指導のコツと基本的な考え方のまとめ」について書きました。
部下・後輩のモチベーションにはハーズバーグの二因説が関わっており、それを意識した対話が必要である。
また実際に育成するにはカウンセリングの技術(話す技術)とコーチングの技術が重要となります。
一人ひとり生まれも育ちも異なるメンバーを相手にするため常に一筋縄ではいきませんが、傾聴と問題解決を繰り返して部下・後輩に接していきましょう。
伝え方に関する記事もよく読まれています。部下へ指導すべき報告やプレゼンのポイントはこちら。
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