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What-If解析とは?簡易的かつ効率的にリスク評価する方法を解説

What-If解析とは?
お悩み社員

・生産現場のリスク評価をしたいけど、簡単に実施する方法はないかな?

・What-If解析って単純そうにみえるけど、実際に正しくやろうとするとどうなんだろう?

そんな疑問に答えます。

この記事を書いているわたしは生産現場で10年以上の経験があります。

その経験の中でも非常にシンプルな考え方であり、オペレーターから設計者、保全担当までさまざまな専門家が幅広く使っていけるツールだと考えています。

この記事の内容

・What-If解析のやり方がわかる。

・より網羅的に考えるためのガイドワードがわかる。

What-If解析とは?

What-If解析は、デュポンが最初に提唱した解析方法です。

「もし、このポンプが停止したならば」「もし、この流量計が故障したならば」などのように設計者や運転員が日常行なっている発想やブレーンストリーミングの思考形態をそのまま解析に活用しています。

プロセスの安全対策の妥当性、潜在危険の抽出に使われます。

What-if解析チームは、リーダーのもとに設計や運転に豊富な知識を有するエンジニア、オペレータ、セーフティエンジニア等を複数人とします。

What-If解析の進め方

やり方としては非常にシンプルです。

例1)設備設計段階におけるリスクアセスメント

1.P&IDやフロー図を作成します。

2.フロー図に示した機器(ポンプ、調節弁、撹拌機など)が故障して停止、あるいは誤作動開・閉となったらどうなるかを危険予知します。

3.最悪ケースを防ぐ手段を検討し、検知・回避するすべが不足していれば、設備を追加します。

ここで定量的に整理したい場合は、HAZOPやFMEAの考え方を取り入れるとなおよいです。

例2)非定常作業の作業設計

1.非定常時における作業手順書を作成します。

2.各手順において、「操作をしないまま次に進んだら」「弁操作を大きくし過ぎたら」「残液が残っていると仮定したら」等と〇〇ができなかった場合を想定して危険予知をします。

3.各手順において危険予知の結果に対して、手順の見直しや着用保護具の選定、資材の準備をおこないます。

 

What-If解析の特徴と注意点

HAZOPと比べると案内語(ガイドワード)を使用しない等検討のしきい値は低いです。

よって自由な視点から異常事態の影響を検討できる一方、検討内容に偏りがでないようにする必要があります。

欠点を補う方法として、あらかじめ質問のキーワードを整理したものを使う「What-Ifチェックリスト法」がより有効となります。

What-IF質問リスト

No.分野What-If質問の例
1取扱物質正規と異なる物質
不純物質混入
2用役喪失停電
冷却水停止
スチーム停止
計装空気停止
燃料ガス停止
不活性ガス停止
3誤操作仕切弁/遠隔操作弁の誤開、誤閉
フレキシブルホースの接続間違い
4計器、動的危機の故障ポンプ/圧縮機の故障停止
ポンプ/圧縮機の能力低下
撹拌機故障停止
制御弁の故障開/閉
計器の誤指示
遮断弁の不作動/誤作動
5プロセス異常流れ停止
逆流、他系流れ
流量増加、減少
圧力上昇・低下・負圧
温度上昇・低下
濃度/粘度上昇・低下
液面上昇・低下
異常反応/相変化
6静的機器の損傷塔、容器の腐食
熱交換器/加熱炉チューブの破孔・破断
配管滞留部の腐食
配管接続部の漏洩

 

まとめ

今回の記事は「What-If解析とは?簡易的かつ効率的にリスク評価する方法を解説」というタイトルでまとめてきました。

非常に簡易的なので、短時間でホワイトボード等に書き出してみて関係者で議論することも可能でしょう。

What-If解析を使って簡易的かつ効果的にリスク評価をおこない、自分たちの職場を少しでも良いものに変えていきましょう。

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  • この記事を書いた人

けびん

30代前半、製造現場の最前線で管理者を務めています。 文献や実践から得られた学びをこのブログを通じてみなさんと共有していきたいと思います。

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